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NRI&DataRobotだから実現できるビジネスの変革を実現するAI活用とはDataRobot Japan 五十嵐 恒田中 穣(ゆたか)

機械学習を自動化するソリューション「DataRobot」が、この数年で一気に注目を集めています。本記事ではDataRobot Japanの五十嵐 恒氏をお迎えし、アナリティクスチームの田中穣とともに展望を探っていきます。

五十嵐 最初にDataRobot社について簡単にご紹介させて頂きます。DataRobot社はボストンに本拠地をおき、データサイエンティストが予測モデルの精度で腕を競う「Kaggle」の世界ランキング上位経験者が多数所属している企業です。データ分析の機械学習プラットフォームだけでなく、AI人材育成プログラムやお客様のAIプロジェクト成功のためのAI Successプログラムをパートナー様とともに提供しており、国内では150社以上のユーザー様がいらっしゃいます。野村総合研究所(NRI)さんとはコンサルティングパートナーとして協業が始まり、後に販売代理店契約を結ばせていただきました。私自身は、2018年5月よりDataRobot JapanでBusiness Development担当としてパートナー様の新規ビジネス創出やOEMプログラムによるソリューション開発協業などを担当しています。パートナー様と一緒に、業界ごとに強みを活かしてどのように「DataRobot」を展開していくか、といったことをプランニングしています。

五十嵐さんは前職ではアナリティクス製品の金融担当営業だったそうですね。

五十嵐 キャリアとしては金融業界が長いので、NRIさんの金融業界における信頼感などはよく存じ上げています。

「DataRobot」は機械学習のプロセスを自動化し、精度の高い予測モデルを容易に作成できるツールとして、企業規模の大小に関わらず様々な業界において注目されているわけですが、実績としてはどのようなものがあるのでしょうか。

五十嵐 日本での立ち上げ当初は、お客様側のデータサイエンティストが従来行っていた機械学習の実運用化に必要なプロセスを「DataRobot」によって自動化することで、短期でAIプロジェクトを成功頂きました。また、データサイエンティストが本来取り組むべき様々な重要テーマに取り組めるような活動を中心に行っておりました。結果として、データサイエンティストの方々にご支持いただき、多くの成功事例が生まれています。現在では、データ・アナリストやビジネス・アナリストといった、データサイエンティストではないがデータサイエンスに取り組む方=シチズンデータサイエンティストと位置づけられる方々にもご利用いただいております。また、機械学習を成功に導くにはソフトウェアサービスだけではなく、お客様の目的やニーズを把握して成功に導くAI Successサービスをパートナー様とともに提供しており、ビジネスインパクトのある成功事例が多く生まれてきております。どの企業にも「機械学習で解決したい」という課題はあると考えています。そういった企業さまには、データサイエンティストの在籍に関わらず、AIで解決できるビジネス課題に是非我々と一緒に挑戦していただきたいですね。

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これまで機械学習にトライしたことがない企業はどう活用したら良いのか、まずそこからが難しいと思うのですが、そのギャップはどのように埋めていくのでしょうか。

五十嵐 そうですね。AIの導入を成功させるという観点で考えると、まずはお客様自身の中で今のビジネス課題が何で、それはデータと機械学習を使って解決できるものかそうでないのかという、ある程度の具体的なイメージを描いていただく事が大切だと考えています。漠然としたイメージだけで進めてしまうと、AIの導入が失敗に終わってしまうケースが多いからです。もちろん「AIを使ってみたい」というお気持ちは重々理解できますが、やはり解決すべきビジネス課題は何なのか、その課題はデータや機械学習を使って解決できるのかというところをまず突き詰めるのが大切になってきます。またIT部門だけでAIの導入を進めるのではなく、社内の困っている人や部門に直接アプローチして、一緒に課題を解決していくという事が重要だと思います。ビジネスのフロントに立っている現場の担当者やビジネスを走らせている方々の声を聞き、真の課題を把握する。その上で、経営課題は何なのか、解決できたら費用対効果は出るのかというところをお客様と徹底的に議論していきます。そして、その結果、「DataRobot」が必要であるとなった場合に「DataRobot」を提案させていただいております。

これまで行ってきた事業に関する業務改善から、新規事業開拓まで、かなり幅広い部門に関わってくるところですね。

田中 新しい事業に対して、データを取得しながら業務改善をしていくアプローチもありますし、既存事業に対して、蓄積されているデータを活用して業務改善をしていくというアプローチもあります。様々なパターンがあります。

NRIとしては、数々のAIサービスがある中でDataRobot社と協働する意味はどのように考えていますか。

田中 機械学習を自動的に行う「AutoML」というジャンルの中で、「DataRobot」は、現時点では圧倒的なマーケットリーダーだと思っています。最近は類似製品も出てきていますが、プロダクトとしての完成度に関してはまだまだ差があると考えています。「DataRobot」はモデルの精度ももちろん良いですが、データやモデルを解釈するグラフィカルな可視化機能のUIや日本語ドキュメントも充実しています。単にプロダクトとして良いだけではなく、トレーニングやワークショップなどの周辺サービスも充実しているため、お客様のデータ活用を全面的にサポートしていくための有効なソリューションだと思っています。

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「DataRobot」のUIはどういった点が特徴でしょうか。

五十嵐 日本語にも対応しており、とても使いやすい画面になっています。たとえばデータを取り込むと、自動で数千個ある予測モデルの組み合わせの中から精度の高いものを作ってくれます。これまでは1個1個予測モデルを作って評価していかなければならなかったのですが、どの予測モデルを使うかを選ぶところからモデルを作るところまで全て自動で行われます。私のようにデータサイエンティストではない人間でも簡単に予測モデルの生成ができてしまいます。

「DataRobot」に入力するデータはお客様や部門によって様々だと思うのですが、そのデータはどのように結果に反映されるのでしょうか。

五十嵐 データ量の不足やデータの偏りなど、データが不十分な場合は予測結果の精度も下がりますが、それが結局正しい予測かを判断する機能も「DataRobot」が行ってくれます。また、データが予測に与える影響も特徴量のインパクトとして分かりやすく表示します。田中 もちろん、我々NRIが対応する場合は、データをきれいにするという作業も行っています。例えば複数のテーブルのデータをひとつに統合したり、補正したり、新しいデータを作ったりします。五十嵐 また結果から「必要なアクションが判断できる」という事も非常に重要です。「DataRobot」はどのような理由でその結果になったのか教えてくれるため、お客様自身のご経験と照らし合わせながら判断することができます。田中 モデルを利用してアクションを起こす現場の人には単に「これがオススメです」とお伝えしても、「なんで?」と返ってきますから、その問いにきちんと答えなければいけないですよね。「DataRobot」はそこの理由も含めて結果がわかります。たとえば営業のターゲティングにしても「受注確度が高いのでここを優先的にいきましょう」と言っても、なぜなのかということになりますよね。その理由がきちんと出てくるので「ああ、それならそうだね」という会話が成立するわけです。人は納得しないと動かない生き物なので。こういった説明の機能やデータがどのように分布しているかが見える、どういうふうにモデルを作ったかというプロセスが可視化されるというところが「DataRobot」の非常に良いところです。

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かなりビジュアライズされていてわかりやすいですね。

五十嵐 多くのユーザー様にご好評いただいています。また、我々が今回ぜひお伝えしたいのは、ツールの導入で終わりにしないということです。「DataRobot」を導入して「1個のプロジェクトが成功しました」というのは我々からすると嬉しい反面、もっと多くのAIで解決できるビジネス課題に取り組んで成功して頂きたいと思っています。弊社はお客様の会社が組織横断的に機械学習を活用し、様々な課題を解決する、そのパートナーでいたいと考えています。お客様とNRIさんと弊社で一緒にお客様の成功を考え、ゴールを同意した上でプロジェクトを実施するため、1年で終わるような話ではなくて、ある程度、長期にわたってお付き合いしていくようなアプローチをNRIさんとしていきたいと思っています。田中 かつてITが会社組織に入った時代、最初は反発があって「信じられない」とか「データがなくなったらどうするんだ」とか言われていたと思うんですよね。でも、今やもう当たり前です。AIも似たような状況で、「AIを信じられるのか」という状態から、「なんでAIを使わないの?」という状況になるはずだと我々は考えていますが、これは文化の醸成的な側面もあります。徐々にファンを増やしていかなければならない。こういったことを中長期的に考えて、導入までの進め方をそれぞれのお客様ごとにご提案していきます。まずは「リーダーとなるようなデータサイエンティストを育成しませんか」というプランもあれば、ある一組織で成功した後に、他の組織へ展開していくためには「横断的な組織も必要ですよね」みたいな組織論のお話になることもあります。五十嵐 機械学習の事例では、データを入れて予測・検証をしたところで終わってしまうケースが多いんですね。でも、我々はその予測をちゃんとビジネスに組み込み、効果が出るところまでお付き合いしてお客様のビジネスに貢献するということを強く意識してやっています。NRIさんは、「ビジネスに組み込むのは当たり前」というところからお客様と会話をしており、そのために精度の高い「DataRobot」が必要だ、というアプローチでお客様に提案していただけるので、非常に我々としても心強いです。田中 NRIのアイデンティティは特定の商材を売ることがゴールではなくて「お客様の成功に並走すること」がゴールです。ですから、必ずしも「DataRobot」の導入をご提案するわけではありません。お客様の課題にフィットしなければ違う道に行くこともあります。そもそも「機械学習じゃない」という場合もある。お客様が一番成功されるようにナビゲートしていくというのがNRIの役目だと思っています。ただ、デジタルトランスフォーメーションの一端としてデータ活用は非常に重要な位置づけですから、DataRobot社とともに課題に取り組む場面は今後もますます増えていくだろうなと思っています。

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田中 穣

田中 穣Yutaka Tanaka

上級システムコンサルタントプラットフォームアーキテクト

2004年野村総合研究所入社。入社以来、テクニカルエンジニアとして、最先端のオープンソースを活用したミドル開発や基盤構築を担当。その後、オープンソースのサポートビジネスの立ち上げ・拡大に従事。現在はアナリティクスに活動を移し、アナリティクスチームのリーダーとしてPoCの支援や、DataRobotの普及・展開を行っている。

五十嵐 恒

五十嵐 恒Hisashi Igarashi

DataRobotBusiness Development Manager

新規パートナーの立ち上げを中心に活動。マーケティングの企画、案件の発掘、受注後のプロジェクトの成功までの一連の全体のパートナー協業を支援。また、BI、RPA、MAベンダーとのマーケティングや技術協業による新規ビジネスを推進。前職でもAnalytics製品のBD/営業として製品横断したソリューションの企画/提案活動を実施。