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コンサルタントと一緒にお客様と並走する、bit Labs(ビットラボ)。宮前 英子大井 昭久

野村総合研究所(NRI)に、新たに誕生した「bit Labs(ビットラボ)」。本記事ではコンサルタントと並走してクライアント企業とのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援している宮前英子と大井昭久のふたりに、bit Labsが担うべきこと、そして自身が目標とすることなどを伺ってみました。

さまざまなプロジェクトの後方支援を経て

おふたりのこれまでの経歴を簡単に教えてください。

宮前 2007年4月に中途入社して、12年目になります。入社後、最初の5年間は企業のコーポレートIT(CIT)に携わっていました。大型の基幹業務システムの開発などを生産性と品質を保ちながらバランスを取る、そういったことを技術支援するチームにいました。当時は「標準化」が叫ばれている時代でして、生産性向上のためのいろんなツールを開発して提供するようなことをしていました。その後は、システム開発を支えるツールやミドルウェアなどのプロダクトを企画販売する業務を実施するかたわら、4年くらい前から、R&DでそれまでNRIがあまりやってこなかった領域――UXデザインなど、いわゆる“デザイン”のちからを活用して、エンドユーザー向けのサービス開発をNRIのソリューションのひとつとしてできないかということを検討していました。現在、NRIが掲げる長期経営ビジョンに「Vision 2022」というものがあります。「Vision 2022」の中に「真に意味あるイノベーションの共創」として、「ビジネス価値創造の推進」も5本柱のひとつとして掲げられています。これに基づく、生産革新本部の中期計画の作成に末端で携わっていたのですが、その流れでbit Labsの最初の立ち上げから参加することになり、今にいたるという感じです。大井 私は2005年4月に新卒でテクニカルエンジニア(TE)として入社しました。最初の4年間は大手コンビニエンスストアの本部のオフィス業務を支えるシステム基盤を担当していまして、お客様のサービスを24時間365日動かすための、システムの土台になるところをやっていました。その後、現在の部署で、社内の、いわゆるデスマーチ的な状況に陥っているプロジェクトを後方支援という形で支えることをやってきました。弊社はさまざまなプロジェクトを抱えていますので、そういった各所から呼ばれて火消し的な役割を担っていました。

そうすると、かなりの修羅場をくぐり抜けてきたのではないでしょうか。

大井 そうですね。社会インフラ的な役割を持つ大型のシステムは事故になった時の影響が大きすぎるので、それを回避して解決したときの達成感はかなり大きく、やりがいもありましたね。火消しには全社から優秀な人が集まってくるので、その現場は面白く勉強にもなりました。

インタビュー画像

デザインシンキングをベースに、新規ビジネスにのぞむ

去年、大井さんはサンフランシスコで長期研修を受けられたそうですね。

大井 はい。2017年の7月から3ヶ月間、サンフランシスコでの研修に参加しました。もともとTEとして技術的なサポートをずっとやってきたわけですが、自分も「事業に直接関わりたい」という思いが強くなってきて、会社の中で近くにいるメンバーと新しい事業を考える、みたいな草の根的なことを地味にやっていました。そんな時に部長から声をかけられて、研修に行く機会に恵まれました。

どのような研修なのでしょうか。

大井 デザインシンキングを主体とした研修で、実際に一緒に行った4人で一つのチームとして、新しいサービス、プロダクトをつくって、実際に現地のエンドユーザーや投資家にプレゼンしました。私たちのチームでは自分たちの身の回りの問題点を具体的に挙げて、それを解決する方法をいくつか考えたすえ、最終的に家計簿系のアプリをつくることにしました。実際にプレゼンする際にはエンドユーザーからいろいろなご意見をいただき、投資家には散々厳しいことも言われましたが、とても貴重な経験をすることができたと思います。

bit Labsの今後に、具体的に活かせそうな経験ですね。

大井 デザインシンキングを学んだことで、かなりマインドチェンジすることができたと自分では思います。宮前 NRIからは年間3回、毎年10数人がこの研修に行っていて、すでに8回ほど行っていますが、みんなかなりマインドチェンジして帰ってきている様子です。社内でも、お客様の新規事業に対応するには、これまでのウォーターフォール型の開発ではダメだという認識もあり、デザインシンキングの需要は高まっていると感じています。

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現在のおふたりのお仕事について、教えてください。

大井 現在はコンサルティングを行うメンバーと一緒に、お客様のところに行って、お客様の新規ビジネス開発のご支援をしています。また個別の課題に対してはエンドユーザーのニーズなどを把握するために、実際にユーザーインタビューなども行っています。ユーザーインタビューは毎回1時間半くらいかけて行うのですが、ニーズの掘り起こしなどにとても有効です。ユーザーの声はいちばん大事だと実感しています。宮前 私も大井と同じ動きをしています。NRIでは、最近、コンサルタントと我々システムを担当する者が、お客様と並走しながら新規ビジネスを構想したり推進することを「コンソリューション」略して「コンソリ」と呼んでいます。大型のシステム開発が主流だった時代は、コンサルティングのフェーズとシステム開発のフェーズは明確に分かれていて、一緒に動くことはありませんでした。でも、現在は新規ビジネスのプランニング、開発支援とともに、ITの実装やサービスデザインを同時並行的に進めて評価と検証を繰り返さないといけない時代になりました。そんなわけで、縦割りだった社内も変わり、連携することが多くなってきています。

おふたりの今後の目標について教えてください。

大井 最近、私が言っているのは「新規ビジネス開発にイノベーションはいらない」ということです。特別にイノベーティブなことを追求しなくても、ちょっと目先を変えることで事業化できることは案外多いのではないかと考えているからです。個人的には、現実的だけどかゆいところに手が届くアイデア、プランを温めていくことが着実に新規ビジネスにつながるのではないかと。いろんなことにトライしながら、2022年くらいには社内でジョイントベンチャーのような形で新規事業を担うことができるといいなと考えています。宮前 私の野望は、子どもから大人までワクワクするようなものを生み出す、ユニークな事業体にしたいということですね。お客様の事業開発に貢献しながら、さらにそこに社会的価値といいますか、生活者としても「これができて本当に良かった」と思えるようなサービスを創り上げたいと思っています。また、bit Labsでは、いろんな才能も集めたいと考えています。真面目で社会的価値もあるけれど、なんだかすごく面白い、みたいな、これまでのNRIのイメージを覆すようなプロジェクトができたら、世の中にちょっとしたインパクトを与えることができるのではないかと思っています。

宮前 英子

宮前 英子Eiko Miyamae

上級システムコンサルタントサービスデザイナー

独立系のソフトウェアハウスでシステムエンジニアとしての経験を積み、2007年に野村総合研究所入社。NRI入社後は、基盤ミドルウェア事業の企画営業・製品開発・プロジェクト導入支援を経験。その後、デザインシンキングやUXデザインといった手法を情報システムの開発に活用するR&Dを推進するかたわら、bit Labsに構想段階から参画。現在は、顧客事業の事業開発部門向けに、サービスデザインやPoC推進の支援をしている。

大井 昭久

大井 昭久Akihisa Ohi

上級システムコンサルタントサービスデザイナー

2005年野村総合研究所入社。テクニカルエンジニアとして、サーバー基盤の構築、ミドルウェア開発や大規模プロジェクトの標準化チームリーダーを担当。その後、活動をアプリケーション開発、コンサルティングに拡大。現在は、顧客企業の事業開発部門向けに、デザインシンキングを使った新規サービスの立ち上げや、PoC計画・推進の支援をしている。